2026年9月27日、那須川天心が再び世界王座に挑む。相手はWBC世界バンタム級王者・井上拓真。2025年11月、那須川にプロボクシング初黒星を与えたその本人だ。約10カ月を経て実現する再戦は、単なる雪辱戦ではない。那須川はその間に元世界2階級制覇王者ファン・フランシスコ・エストラーダを破り、自ら世界再挑戦への道を開いた。「キックボクシングから転向したスター」という物語は、もう過去のものになりつつある。今見るべきなのは、ボクサー・那須川天心が世界王者になるために何を変えたのかだ。

9戦目を終えた那須川天心の現在地

帝拳プロモーションの公式プロフィールによると、那須川は千葉県松戸市出身。1998年8月18日生まれで、現在はバンタム級を主戦場とする。プロボクシング戦績は9戦8勝3KO1敗。WBC世界バンタム級1位として、9月27日にTOYOTA ARENA TOKYOで王者・井上拓真へ挑戦する。大会はPrime Videoが独占ライブ配信予定だ。

初黒星が突きつけた「12ラウンドの修正力」

最大の転機は2025年11月24日の井上拓真戦だった。空位のWBC世界バンタム級王座を懸けた初対戦で、那須川は序盤にスピードを生かしたものの、ラウンドが進むにつれて井上が距離と圧力を修正。12回を戦い抜いた末、井上が判定で勝利した。那須川にとって、これがプロボクシング初黒星となった。

エストラーダ戦で得た再挑戦権

敗戦後の次戦は、決して安全な再起戦ではなかった。2026年4月11日、那須川は元世界2階級制覇王者ファン・フランシスコ・エストラーダとWBC世界バンタム級挑戦者決定戦で対戦。結果は9回終了TKO勝ち。エストラーダ陣営の棄権によって試合が終わり、那須川は世界タイトルへの再挑戦権を手にした。

速さを「どこで使うか」が変わった

那須川の最大の武器は依然としてスピードだ。踏み込み、離脱、上体の反応、相手が動く瞬間への反応。しかし現在の那須川を見るうえでは「どこで速さを使うか」の方が重要になっている。ボクシングでは、速い選手が必ず勝てるわけではない。相手が距離を詰め、逃げ道を制限し、ラウンドを重ねながらタイミングを合わせてくる。初戦の井上はまさにその難しさを突きつけた。

再戦で見るべき3つのポイント

  • 序盤のスピードを12ラウンド仕様にできるか
  • 井上が前へ出た際、後退するだけでなく攻撃で押し返せるか
  • エストラーダ戦で見せた蓄積型の攻撃を井上にも通用させられるか

那須川天心のボクシング転向から約3年。地域王座を獲得し、ジェーソン・モロニーやエストラーダといった世界王者経験者と戦い、一度の世界挑戦失敗も経験した。9月27日に勝てば世界王者となり、敗れれば井上拓真との差が再び示される。初戦の結果を知っているからこそ、再戦は面白い。那須川天心が本当に世界トップレベルのボクサーになったのか。その答えが出る一戦になる。

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